【超々短編】素肌のふれあい

【Assault for Freedom】 Chapter 3 & 4 表紙絵 (作:Dolce様)

ドルチェ様から『【Assault for Freedom】Chapter3&4』の表紙絵を頂いたのです!
実際に長編小説を頒布するのは、遠い未来の出来事になってしまいそうですが……(・ω・;
頂いたイラストからインスピレーションを頂いたので、
ごくごく短い小説を執筆するに至ったのです!

ドルチェ様HP:Queendom


◆   ◆   ◆

 

「おい、周り見て掃除しろ! 石像を傷つけやがって!」

 ルィトカ家の屋敷のエントランスに、中年男の声が響く。

「す、すみません……」

 頭を下げたのは、青年のマルコ。掃除用具を抱えている。

「ったく。この前も花瓶を壊しやがたし、使えねぇ……」

 中年は吐き捨てると、首を横に振りながら去って行った。マルコは絨毯を見下ろしたまま、陰鬱に立ち尽くすばかり。

 

「その石像の傷は、昔からあったものですわ」

 吹き抜けになった上階の通路から、威勢のいい女の声がした。真紅のロングドレスを纏うマルコの雇い主、ミシェル。

「貴殿の失態ではないと、弁明すべきだったのではなくて?」

 そう言いながら、ミシェルは階段を降りてくる。

「だって……あの人怖いから、口答えできないし……」

 消え入るような声で返すと、マルコは視線を逸らした。

「相も変わらず、意気地なしですわね。そうやって気概を見せないから、人から舐められるのですわッ」

「そう言われても……俺は妹の学費を稼ぐことだけ考えて生きてきたし、上司や誰かに刃向かう気概なんて必要なかった」

 階段を下り終えると、ミシェルは腕を組んでマルコを睨む。

「……仕方ありませんわね」

 

 ミシェルはロングドレスの肩紐をずらす。柔肌を包み隠す真紅のカーテンが、腰のくびれを撫でるように滑り落ちる。

「なっ……!?」

 マルコは息を呑んだ。ミシェルが前屈みになった時、たわたに実った乳房が微かに波打つ。絹糸のようなピンクの長髪が浮き上がり、ダイヤのティアラ共々高貴な光を照り返す。

「このわたくし自ら、貴殿を男にして差し上げますの」

 ロングドレスが絨毯に横たわり、コルセットドレスを露わにするミシェル。二ーハイブーツとミニスカート、その合間から大胆に覗かせた、乳白色の豊満な太腿。

 極度の熱に煽られ、マルコの視界がぐらついた。甘酸っぱくスパイシーで、情熱的な柘榴ざくろの香水が、鼻腔をくすぐる。

「覚悟はよろしくて?」

 彼女が甲高く足音を響かせる度に、マルコは雷に打たれたように身を反らす。ダイヤの指輪を嵌めた両手が、ミシェルの自慢げな表情を遮るように、マルコの顔に伸びて来て――。

 

「レスリングの時間ですわ! 掛かって来なさいッ!」

 ミシェルはマルコの首を捕らえ、体を宙に浮かせた!

「な、なぜ……!?」

 ジタバタして逃れようとするが、しかし全く意味がない。

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