PARU+さんのイラストを基に、ショートショートを執筆いたしました!
『ちょっぴり人見知りで、いつも声が少し震えている』
上記のイラストの子は、そんな人となりです。
印象的なイラストだったので、いつか機会があれば書きたいと思っていました。
掲載許可を頂き、ありがとうございます!
PARU+さん サイト【PARUDEV】 Twitter:@paruDevelop tumlbr:paru-develop
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二羽の小鳥が、夏の夕陽を追いかけて羽ばたきました。青空のような翼が茜に染まり、歯車が錆びるように見えて、少し切ない。
動物たちの合唱が幕を閉じ、名残惜しそうに狼が遠吠えします。森の木々が葉擦れる音が、しくしく泣いているようにも聴こえました。
番い鳥を追いかけるように、私も歩き出します。私の家と夕陽は同じ方角です。時々、ちょっと冷たくなった風に、肩を撫ぜられつつ。今日の楽しい思い出を、影絵のように夕陽に被せながら、私は寂しさを紛らわしていました。
小経の曲がり角に差し掛かった時です。
真っ白な服を着た女の子が立っていました。たくさんの青葉を乗せたそよ風に、その子の長い裾がはためいた瞬間、私は立ち止まります。
その子は、じっと夕陽を眺めています。もしかしたら、番い鳥を見送っているのかも知れません。私も夕陽を眺めます。もうすっかり、番い鳥は点のように小さくなっていて、瞬きするうちに夕陽に溶けてしまいました。
「あっ……」
その子は振り返ると、少し震えた声を漏らしました。碧色の瞳に見つめられて、吸い込まれてしまいそう。
私は、「どうしたの?」と尋ねましたが、その子は何も言いません。「迷子?」と私が言ったら、黙って首を横に振りました。「誰かとケンカした?」と聞いても、同じように首を振ります。どうやら人見知りみたいです。
「大丈夫……?」
私は心配になって、そんな風に言いました。すると、
「……いっしょに帰る?」
その子の声は、また少し震えていました。放っておけなくて、私は「いいよ」と言い、いつの間にか手を繋ぎました。
そうして私たちは、いつもの帰り路を、これからお出かけするように軽い足取りで歩きました。土を踏みしめる音が、とても賑やかに聴こえます。
夕陽を追いかけた番い鳥は、どこに辿り着いたのでしょう。その子も同じことを考えていたりして。夕陽は握り合った手のように温かく、やわらかくなっていました。
それから私は、夕陽を見るたびに思い出すようになりました。身近なようで、遠い夏の日のような、思い出を。